みんなのひろば


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表題)分岐点は説教的で若者向けすぎ update)2018'05'29'10:55
お名前)なすびの親爺 性別)男性 年齢)80代 ご職業)飲食店 エリア)埼玉県
メッセージ)
 分岐点を観た。27日。ラストの葛西がひとり照明の中に立ちつくす姿はこの芝居の絶頂であり、長時間のもどかしさ・不満が薄れて、腹の底から静かな感動が湧いてきた。葛西の力量なのだろう。彼の存在がなければ、この芝居は面白くない現代社会への批判だけにおわっていただろう。


表題)心を揺さぶる、二人の若者の出会い! update)2018'03'20'10:54
お名前)ムトヤン 性別)男性 年齢)50代 ご職業)教員 エリア)東京都
メッセージ)
 今回の芝居は端的に言うと、いじめに遭って死のうとする現代の高校生を、太平洋戦争で戦死した竹内浩三が現れて励まし諭し、「生きること」に向かわせるという内容だった。

 時空を超えて戦時の若者と現代の若者が出会い、そして共に「もっと生きたかった」「生きることは素晴らしい」と言えるまでの過程は、それはなかなかに厳しい場面が描かれていた。特に学校でいじめに遭い、級友からも担任からも辛い仕打ちに遭う宮斗くん役を林田くんが熱演していた。この極めて感性の鋭い、そして、思いやりに溢れた若者は、家庭にあっては父を亡くし、母親の再婚話にも揺れていた。そんな宮斗くんを救ったのは亡き父の母と実家のある伊勢の人々だった。

 と書いて行くと、まるで荒筋を追記しているようだが、このお祖母さんとの出会いから宮斗くんは少しづつ変わって行き、所々に登場して彼を励ます竹内浩三との間にも自身の心を開いて行く。そうだ、竹内浩三の遺した詩集と出会った彼は、不本意に戦死した若者である竹内浩三と出会い、そしてそれはそのまま竹内を通して自分自身とも向き合うことになるのだ。

 だから、おざなりの対応しかしなかった担任にも、あらためて出会うことになるし、彼が恋人からなじられると(恋人は宮斗くんと知り合い)心配する。そして、冷たいと思っていた担任に「お前、いい奴なんだな」と言わしめる。そして、担任が自己を反省し宮斗くんに謝罪すると、「サキさん(恋人)に言われたからですか」と批判する。

 最大の見せ場は終盤の宮斗くんが竹内浩三の墓参をする場面だ。かつて学ランを着た若者として現れた竹内は、ここでは兵隊姿だ。そして、機銃掃射の中逃げ惑いながらも手帳に詩を記す姿を見せる。宮斗くんは、その詩のおかげで竹内と出会い、そして、自己を閉ざし現実から逃避し死のうとした自分とあらためて向き合うことが出来たのだ。

 竹内浩三役の矢野くんの熱演も大いに光った。その声がとても素敵だ。暖かく、死のうとする若者に安らぎを与えていた。また、担任役の中川くんも難しい役回りを爽やかに演じていた。僕は教員として、彼の役回りの担任像は普通にあるタイプで、むしろ、宮斗くんとのやり取りで変わって行く(成長してゆく)あたりは、好ましく感じた。そう、学校の中では、生徒も教員も共に育つ余地があるのだから。

 「死にたくなかった」兵士が、「死にたい」高校生を救い、共に「生きたい」「生きることは素晴らしい」にたどり着く。これが、心を揺さぶられずにいられようか。「いじめ」や「反戦」の前に、人間同士の出会いに感動できた作品だったと思う。