青年劇場サポーターシップ

「善意の人の沈黙と無関心」を変える、
青年劇場に期待

埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 本田 宏

 医師になって33年、医療は進歩し患者さんの期待は膨れ上がるばかりです。一方救急患者のたらい回し、医療事故、医師不足、医師の過労死…、ついに医療崩壊が大問題となってしまいました。

 何故なのか、日本の医療費や医師数をグローバルスタンダードと比較してびっくりしました。経済大国の日本のGDP当り医療費と人口当り医師数は、国民が知らないうちに先進国最低に抑制されていたのです。

 世界に誇る「国民皆保険制度」もすでに有名無実化、窓口自己負担は先進国最高、抗がん剤治療が高くて断念する人々、保険料が払えずに保険証を取り上げられる人さえ珍しくありません。そしてこの期に及んで市場原理最優先のTPPが導入されようとしています。

 先の敗戦では無邪気にお上を信じた一般国民が、塗炭の苦しみを味わいましたが「善意の人の沈黙と無関心」は現在の日本でいまだ続いています。


「青ひげ先生の聴診器」高橋正圀=作 松波喬介=演出
左より 藤木久美子 小竹伊津子 葛西和雄 撮影:宮内勝

 私と「青年劇場」の出会いは、震災7日前に観た「青ひげ先生の聴診器」でした。とある地方の病院で日々悩み、患者のために精一杯頑張る医師や看護師、そこには日本の医療現場の実態がリアルに、笑いとペーソスを交えながら生き生きと映し出されていました。

 国民が正しい判断を下すためには、正しい情報に接することが必要最低条件、その一念で情報発信をしてきた私にとって「青ひげ先生の聴診器」はまさに目から鱗でした。芸術を通して社会問題をあぶり出し、広く国民に訴える、「青年劇場」の存在感が一層増しています。


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