夏の特別企画「修学旅行」「3150万秒と、少し」連続公演


千秋楽後の交流会レポート!

「演劇の力」

7/19日(土) 於:青年劇場応接室
「修学旅行」「3150万秒と、少し」連続公演にお越しくださいましたみなさま、本当にありがとうございました。会場ロビーにあふれる、普段よりぐぐっと若い観客層に、劇団員一同大興奮の5日間でした。折込チラシなどでお知らせしてきましたが、千秋楽翌日、観客のみなさんと出演者との交流会が催されました。


劇団員の参加者は「修学旅行」から相楽満子(「カキザキ」役)・本間理恵(「チアキ」役)、「3150万秒と、少し」から大月ひろ美(「川原梨香」役)・榎本葉月(「高野悠子」役)、そして9月公演「藪の中から龍之介」から芥川龍之介本人…じゃなくて芥川役の北直樹。





北直樹(「藪の中から龍之介」芥川龍之介役)

北は「3150万秒と、少し」の旅公演の製作も担当しています。

交流会は、お茶菓子などつまみながら、ゆるゆる雑談形式で行われました。 サポーターワークショップから参加してくれていた女の子は、「俳優さんの「素顔」と「役」がぜんぜん違っていてビックリしました」 なるほどなるほど。「素顔と役がいっしょだったら私はどうなるんですか」とは「修学旅行」カキザキ役の相楽の言。


相楽満子(「修学旅行」カキザキ役)

「3150万秒と、少し」の初演を御覧になった方からは、ラストシーンの演出の違いが話題に。台本上の変化はありませんが、4年間の巡演のあいだに演技も演出も試行錯誤を重ねました。それにしても、細部までよく覚えて下さっていて、ありがたい限りです。

 学校公演と一般公演

「修学旅行」も「3150万秒と、少し」も、直前まで全国の学校をまわる旅公演を続けてきたので、まず話題に上ったのは、学校公演と一般公演の大きな違いについて。特に「修学旅行」は、東京公演中にもひとつ学校公演を挟んでいたので、その感がひとしお大きかったようです。


手前:榎本葉月(「3150万秒と、少し」高野悠子役)

「お客さんの中には、『演劇鑑賞教室』の行事でそこにいるだけの、「隙あらば寝てやろう」みたいな人も必ず一定数はいるわけじゃないですか。そんな場所で自分たちのお芝居を受け入れてもらう難しさと、それが成功したときの大きな快感が学校公演にはあるんです。また、それとは逆に一般公演では、お客さんは基本的に最初から集中して観てくれ、細かな一挙手一投足、体育館公演とかだと伝わりにくい微妙なやりとりまでていねいに観てくれる、っていう楽しさがあるんですよね」 環境が違うと必要とされる演技スタイルも変わってきます。両作品とも久々の東京での一般公演。その嬉しさと難しさが出演者の口から語られました。

 旅公演の思い出


本間理恵(「修学旅行」チアキ役)

今回の連続公演の目的のひとつに、全国巡演の成果を東京の一般のお客さんに披露する、ということがありました。「公演班日誌」を読んでいただければわかりますが、旅公演はまさに波乱万丈。話のネタには事欠きません。「修学旅行」で言うと、「カイトくんの受け入れられ方の違い」
「修学旅行」で5人の女子生徒から同時に好意を寄せられるカイトくんには「僕はみんなのものだから」という歴史に残る名ゼリフがあります。

「あのシーンなんですけど、男子校と女子校でまったく反応が違うんですよ!」
「へー」
「男子校だと「ワッ」ってお客さんが笑って、その中にほんのり「うらやましいな〜」っていう空気が流れるんです。それが女子校だと、このセリフが出た瞬間に「サーッ」ってお客さんが引いていくのがわかるんです。ホントに「サーッ」って。笑いも「引き笑い」で」
「(笑)」
今回御覧になったみなさんはいかがでした?


右:大月ひろ美(「3150万秒と、少し」川原梨香役)

「3150万秒と、少し」では、「羊に話しかけるお客さん」が話題に。
「ある学校での公演のときなんですけど、「狩りをする」っていうリストを達成しようとした時に梨香と悠子が羊をつかまえるじゃないですか、そのときにね「こっち、こっち」って羊を呼び寄せようとするお客さんがいるんですよ。小声で。なんか、こんな手招きして …いやいや、それ人間だから。呼んでもこないから(笑)」
また、全国各地で公演をしているため、カーテンコールのときにお客さんから渡される贈り物も実に地方色豊か。
「「3150」班で一番インパクトあった贈りものは?」
「スイカですね」
「ほー」
「終演後に学校の代表の方がスイカを持ってきてくださったんですけど、それを受け取ったのが、これから舞台あいさつをしなきゃいけない公演班長で」
「で、どうしたんですか?」
「え、しょうがないからそのまま舞台あいさつしましたよ。こーんなおっきなスイカここに抱えたまま」
「あんな感動的なラストシーンの後で(笑)」
各上演地で贈り物をくださったみなさま、本当にありがとうございました。スイカはおいしくいただきました。

 公演を通じて


最後に、今回の交流会で印象深かったのは、公演サポーターとして最初から参加してくれていたある少年が、お芝居の感想とともに自分の気持ちをかなり長く、そしてリラックスして語ってくれたこと。彼は見たところとてもシャイで、サポーターの集まりなどで話題をふるといつも困ったように受け答えしていましたが、この交流会では、「3150万秒と、少し」のエピソードに触発されてか、自分の両親との出来事、そのときの気持ちなど、こちらがびっくりするぐらい雄弁に、笑いさえ交えて語ってくれました。思いもかけない演劇の力にびっくりしたのは、むしろお芝居を創っていた私たちなのでした。


というわけで「夏の特別企画」めでたく終了。

でも両公演班の全国巡演の旅は今後も続きます。その模様は「公演班日誌」でお楽しみください。それでは!