コロナウイルス感染防止に関するガイドラインについて


 新宿シアターモリエールでのクラスターの発生は、劇場関係者に衝撃を与え、観客の皆様にも大きな不安を与えています。特に詳細が明らかにならないまま「劇場がクラスター化」などの報道がされたこと、保健所によって800名の観客すべてが濃厚接触者と認定されたことが、その不安をさらに広げるものとなっています。
 主催者による十分な説明がされない中、シアターモリエールも参加している小劇場協議会は「シアターモリエールは我々が自ら定めたガイドラインに反し、感染防止策が徹底されていなかった」と発表しました。
 報道等によれば、症状を発した俳優がいるにも拘らず公演が行われ、場内でのソーシャルディスタンスが確保されていなかったこと、さらに終演後の握手などが行われていたと言われています。
 事実とすれば、演劇公演の再開に向けて努力してきたものとして大変遺憾であり、感染経路等の事実究明が行われることを切に望むものです。

青年劇場のガイドライン概要

 青年劇場はコロナウイルス感染拡大に際して、4月3日に「新型コロナウィルス感染拡大防止のために」と5月公演のチケット取り扱いについて、13日には「新型コロナウイルス感染に関してのお知らせとお願い」として劇団員の感染と劇団業務の一部停止について、また23日には「5月公演「水曜日、ゆらゆるりん」延期のお知らせ」をHP上で報告してきました。この間、5月公演の稽古もリモートで行うなどの措置もとり、特に事務所勤務の劇団員が感染したことから、劇団事務所を二週間閉鎖するなどの感染防止措置をとり、消毒の徹底と換気、除菌、マスク着用の励行などの劇団内でのガイドラインを作ることで、感染防止に努めてまいりました。

 その後5月公演が延期になり、6〜7月期の「きみはいくさに征ったけれど」の学校公演なども全て中止・延期となる中、唯一7〜8月の「キネマの神様」九州演劇鑑賞団体連絡会議(九演連)例会のみが残りました。緊急事態宣言は5月末に解除となったもののまだまだ不安の残る中で、九演連の方々と話し合い、とりあえず以下のような取り決めをしました。

@出演者、スタッフに感染者が出た場合は、即刻稽古を中止する。旅公演がスタートしても同様の扱いとなるので、当日の上演中止があり得ることを了承した上での公演となる。
A通常行われる鑑賞会の方々との交流会やお通し、面会などは行わない。

 その確認を頂いたうえで、6月初旬から稽古場での稽古をマスク着用でスタートさせました。
 また東京での感染が拡大したこともあり、九州に入る前に何らかの検査が必要ではないかと、公演班全員の抗体検査を実施しました。陽性反応が1名出ましたが、その後に肺のCTスキャン及びPCR検査を行ない、医師の「問題なし」という診断をもとに公演班をスタートさせました。
 抗体検査は精度が問われており、絶対安全という保障はありませんが、6月の稽古から7月の九州での公演をほぼ半月間行なった現在、公演班員に全く症状が出ていないということが、何よりの保障ではないかと考えています。

 九州の劇場はそれぞれの感染防止措置が取られており、その措置に沿って、客席を市松模様の50%以下で例会を実施し、消毒やフェイスガードの使用、入り口でのお客様の検温、ソーシャルディスタンスの確保などが行われています。私たちも、演出上客席を使わない、舞台と客席との距離を十分にとるなどの対応をとっています。演劇の灯を消すことなく、多くの方々の心に舞台を届けようと日夜努力され、感染拡大防止に心を砕き、最大限の努力をされている各地演劇鑑賞会の皆様には本当に感謝の念にたえません。

 毎日の検温に始まり、舞台上以外でのマスク着用、ホテル・旅館等でも消毒・換気の励行、さらに終演後の食事の際にも不特定多数の方との接触を避けるなどの厳しい基準を設けながらの公演ですが、とにもかくにも8月12日の大村諫早市民劇場での千穐楽まで、無事に公演を終えることに集中してまいります。

 同時に東京でも、日々感染防止に努めながら、9月公演の準備を進めています。感染状況の推移を見ながら、万全の体制で皆様をお迎えしたいと思います。

2020年7月18日 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場