劇団の創立 (UPDATE'2003'04'17)
 1964年、日本新劇界のパイオニア 秋田雨雀(あきたうじゃく)土方与志(ひじかたよし) が戦後に育んだ俳優、演出家八人(朝倉喜久雄・伊東潤二・瓜生正美・小竹伊津子・中津川衛・西沢由郎・森三平太・矢沢邦江)を中心に結成されました。劇団名にお二人の名前を冠しているのは、秋田雨雀のヒューマニズム、土方与志のリアリズム、国際性豊かな舞台創造を受け継ぎ、さらにその遺産を今日の社会にいっそう開花させたいという創立者たちの決意であり意思表示でもあります。そして、戦後土方与志が未来を担う若者たちに優れた演劇を提供しようと精力を傾けた「青年劇場運動」によるシェイクスピアの作品によって出発しました。「青年劇場」という劇団名にはこの「青年劇場運動」と、「いつまでも青年のように」という思いが込められています。

青年劇場のマーク (UPDATE'2003'04'18)
秋田雨雀、土方与志の頭文字A・U、H・Yを図案化したもの。舞台美術家・松下朗氏(故人)のデザインです。

劇団の沿革 (UPDATE'2023'03'31)

【創立から今日まで】
 青年劇場は1964年の創立以来、劇団制にもとづくアンサンブルの重視、アクチュアルな演劇創造を特徴とし、日本近現代劇、海外の作品などを意欲的に上演してきました。飯沢匡氏・千田是也氏(いずれも故人)など劇団外からの協力を得て、多様な活動を展開し、飯沢匡=作・演出「夜の笑い」の公演成果と小寺隆韶=作、堀口始=演出「かげの砦」の青少年劇場巡回公演への評価により第13回紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞しました。また、その他の作品群も厚生省中央児童福祉審議会児童福祉文化賞(厚生大臣賞)、東京都優秀児童演劇選定優秀賞(東京都教育委員会賞、日本演劇協会賞、都民劇場賞)をはじめとした数多くの賞を受賞するなど高い評価を得ています。
 今日さらに、現代日本演劇界の旗手として充実した活躍をみせる多くの劇作家、演出家と共に多彩な作品を創造し、多様な公演活動を展開しています。
 劇団員は現在およそ100人が所属しており、幅広い年齢層で構成され、東京での公演をはじめ全国で年間200ステージ前後の公演活動をくりひろげています。

【活動の主な柱】
 年間の活動は、現代日本社会に真正面から挑む骨太の創作劇や世界の優れた演劇作品による定例公演をはじめ、全国演劇鑑賞会での巡演、全国各地域での実行委員会公演を柱としつつ、更にもう一つの柱として高等学校・中学校などでの学校公演をはじめとした青少年のための公演活動(青少年劇場運動)を一貫して展開しています。同時に、拠点である青年劇場スタジオ結(YUI)を活かし、近代古典作品や実験的作品に挑戦する小劇場公演にも力を注いでいます。

【「演劇の力」を社会へ還元する活動】
 また、劇団の培ってきた「演劇の力」を社会へ還元する活動として、公立文化施設関連の演劇に関する事業を各地域で共に展開し、近年とみに要望が増えている演劇ワークショップなどにも精力的に取り組み、学校、地域での演劇指導や青年劇場スタジオ結(YUI)を活用した中学生対象の演劇体験プログラム(地域文化倶楽部)を開催するなどしています。加えて、演劇指導にとどまらず「演劇の力」を通して、障害を抱えたり、生きづらさを抱えている若者の心の解放と自立に寄与する社会包摂活動にも新たな活動の柱の一つとして積極的に取り組んでいます。

【国際交流】
 演劇を通じた国際交流にも努力し、ロシア・サンクトペテルブルグから演出家・美術家を招いての「かもめ」(2001年2月)公演や 韓国現代演劇界を代表する演出家・林英雄(イム・ヨンウン)氏を演出に招き、韓国演劇界からの客演も得ての「カムサハムニダ」(2001年9月)公演を行いました。また、 2002年7月にはソウルで開催されたアシテジ(国際児童青少年演劇協会)世界大会のフェスティバルで「17才のオルゴール」を上演、2005年には「銃口―教師・北森竜太の青春」(三浦綾子=原作、布勢博一=脚本、堀口始=演出)の韓国14都市巡回公演を行い、日韓演劇交流を更に一歩進めました。
 また2008年からは劇団内外の参加者を募集して、海外より講師を招きスタニスラフスキー・システムによる演劇ワークショップを毎年開催しています。

【多くの人々に支えられて】
 こうした劇団の歩みの大半は当初、公共助成も乏しく劇団員の創意と工夫、献身的な努力というまったくの自力によるものでした。今日では、公共助成も得て活動していますが、現実社会に絶えず目を向けながら作品創造を進め、 観客との出会いや接点を大切にし、新たな観客開拓に努め、更に自前のバスやトラックを駆使して全国津々浦々での公演活動を幅広い支持者の方々からのご支援に支えられながら進めてきています。更に、この活動を継続して発展させるべく、創立当初より付属養成所を設け次世代の劇団員、演劇人の育成に取り組んでいます。
 劇団の運営はそのほとんどが演劇公演活動によってまかなわれ、それは多くの観客、支持者によって支えられてきました。そのためにも公演を支える観客を増やすための 普及活動に力を入れています。今日でも年間会員数1500名前後の「青年劇場友の会」(1968年発足)は、劇団の東京公演を支える大事な基盤となっています。また、青年劇場を応援する全国組織 「青年劇場全国後援会」(1984年発足)も現在会員約200名を数えています。 また、2009年より恒常的な寄付金窓口『青年劇場サポーターシップ』を設けご支援いただいてきています。