2018年青年劇場レパートリー

3月
第118回公演

「きみはいくさに征ったけれど」

大西弘記=作 関根信一=演出

3月13日〜18日 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

「骨のうたう」「ぼくもいくさに征くのだけれど」など、瑞々しい感性と鋭い洞察で、ユーモラスな詩を数多く残し23歳の若さで戦死した竹内浩三。戦地においてなお創作をやめず、「死」をも俯瞰する詩作のなかで常に「なぜ」「なんのために」を問い続けた浩三の詩。そんな彼に、もし現代の高校生が出会ったら…?浩三と同郷の伊勢出身で、社会のひずみを若者の視点から描き続ける劇団、TOKYOハンバーグの大西弘記氏が、等身大の高校生の姿を通して「生」のありようを問いかけます。
幼くして父を亡くし、母子家庭で育った宮斗。学校でも家庭でも居場所を見つけられない宮斗は生きる意味を見出せない。ある日、一人の風変りな青年が現れて―。
演出は、旗揚げ26年となる劇団フライングステージを率いる関根信一氏。作、演出とも青年劇場と初めての出会いとなる期待の新作舞台です。


5月
第119回公演

「分岐点〜僕らの黎明期」

中津留章仁=作・演出

5月18日〜27日 紀伊國屋ホール

「みすてられた島」で独立を迫られた島民の“憲法論争”を軸に社会のありようを問い、「雲ヲ掴ム」で武器輸出政策に揺れる武器部品工場の人びとを描いた中津留章仁氏と青年劇場が贈る社会派コメディ第三弾!
―20年後の日本。地方都市にある土建会社を経営する一族の三世代。地元政界とのつながりを生かし、公共事業の請負で歴史を刻んできたこの会社も、国や県、市の財政状態の困窮によって次第にその基盤を失ってきている。若者の定着率も低く、社員は高齢化…。危機感はありつつも目の前の経営に追われ、いまや残ったのは一族のみ。そこに襲ったのが国の財政破綻。なぜこんなことに?果たして解決策はあるのだろうか?彼らが生きていく道は切り拓 かれるのだろうか―。
“今”という時代を懸命に生き抜こうとする人々へのエールと、笑いのなかに現代日本への警鐘を鳴らし続ける中津留ワールドが炸裂!


7月
小劇場企画No.23

「宣伝」

高田保=作 大谷賢治郎=演出

7月6日〜17日 青年劇場スタジオ結

「動員挿話/骸骨の舞跳」「原理日本」に引き続き、大谷氏と紡ぐ優れた日本の近代古典シリーズ第三弾。今回は軍隊、戦争の実相に鋭く迫る、1929年初演の秀作を現代の視点から蘇らせます。
ラジオから聞こえてくるのは、日露戦争での勇ましい進軍ラッパと「突っ込めー!」の声。「戦争の光明を称え、一死報国の精神を吹き込む」陸軍省主催のラジオドラマの中継放送に感激一入の市井の人々。放送の出来栄えに気を良くした陸軍大佐は、舞台化を持ちかける興行主に上機嫌で許可を出す。さらにドラマのモデルとなった元軍人を紹介するという。大佐に連れられ興行主と作家が訪ねたのは、戦場で盲目になった廃兵ふたり。「戦争の本当のことを洗いざらいしゃべらせてくれるか」と詰め寄る、今はあんまの元兵卒。誰のための、何のための芝居か。若き作家が選んだ道は…。


9月
第120回公演

「キネマの神様」

原田マハ=原作(文藝春秋刊) 高橋正圀=脚本 藤井ごう=演出

9月13日〜23日 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
25日 府中の森劇術劇場ふるさとホール

幅広い年代に人気を博す原田マハの原作を舞台化!脚色は社会派喜劇作家として全国にファンを持ち、自他共に認める映画通の高橋正圀氏です。
名画座「テアトル銀幕」は、周辺の開発やシネコンの波にも負けず、映画を愛する馴染みの客たちを支えに細々と経営を守り続けている。何十年来の常連“ゴウちゃん”は無類の映画好きだが、ギャンブル狂でもあり家族は手を焼いている。ある日、不摂生が祟って入院したゴウちゃんに多額の借金があることが発覚。一方、一人娘の歩は、再開発企業の大手に勤めるキャリアウーマンから一転、失職してしまい…。
演出は「郡上の立百姓」で第19回千田是也賞を受賞、「島」「アトリエ」など緻密でありながらスケール感溢れる演出力をもつ藤井ごう氏。高橋氏との初タッグでお届けします。

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