《創立50周年記念・第二弾》第109回公演
怒濤
森本薫=作 ふじたあさや=演出


稽古場
だより

「病理と防疫と予防と、
この三つが揃って初めて細菌学は
日本にとって有用の学問になるのだ。」

明治から大正期を走り抜けた北里柴三郎。
森本薫が検閲下の昭和19年に書き下ろした傑作戯曲に、
今、青年劇場が挑みます!


明治25年(1892年)、輝かしい業績を上げて帰国したにも関わらず、
帝大閥との軋轢によって、自ら研究所を立ち上げざるを得なかった北里柴三郎。
その怒濤のような半生を支えた妻、仲間、弟子たち。
社会の流れに翻弄され、それぞれの思惑が交錯する中で、
研究者、実践家、そして教育者としてその意思を貫こうとしていく。


『怒濤』をすすめる            ふじたあさや

1938年4月の『月刊新協劇団』に、久保栄は「こういう戯曲は書きたくない」という一文を発表している。ちょうど『火山灰地』を脱稿したころで、戯曲を書くにあたって自らに戒めていることを、列記しているのだが、その中にこういう文章がある。

「言葉を粗末にする戯曲、それぞれの登場人物のセリフが、性別とか年齢の差別とかいう生物学的な尺度で漠然と書きわけられていても、あるいは漠然とした社会的烙印をおされていても、結局のところ作者のレトリックによって均一化され、作者の言葉づかいがむき出しになっている戯曲――こういう戯曲も書きたくありません。レトリックではなく、生活の言葉で書くことでは、僕たちの仲間よりも、僕たちから比較的遠くにいる新劇作家のほうが、部分的には成功していさえするのではないでしょうか。」

「僕たちから比較的遠くにいる新劇作家たち」が岸田國士ら「劇作」同人たちを指しているのはあきらかで、その中に森本薫もいた。というより、久保をしてこう言わせたのが森本だったという気がしてならない。というのは、三月に文学座が辻久一の演出で、上京したばかりの森本の『みごとな女』を初演しているからで、これが引き金になって二年後、森本は文学座に入ることになる。そして森本は「おれは新劇の岡本綺堂になる」といいながら、『富島松五郎伝』『怒濤』『女の一生』と続く、奇跡のような作品群を残して、時代を駆け抜けて行った。北里柴三郎を描いた『怒濤』は、一人を描きながら時代を描いて、新劇がほとんど窒息させられていた昭和19年に、新劇のとりでを守り抜いた作品である。

「生活の言葉で書くことでは……成功している」と久保栄に言わせ、自らは〈岡本綺堂〉を目指したという森本薫に、僕たちは今、学ぶべき多くのことがあるのではないか。

高みを目指しつつ、広がりを持つ――森本はそんな作品を書けたただ一人ではなかったか、と思うからだ。青年劇場に、あえて『怒濤』をすすめた理由である。



出  演
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島田静仁

武田史江

中谷源

広戸聡

板倉哲

大木章

島本真治

杉本光弘

秋山亜紀子

武智香織

大山秋

相楽満子

岡本有紀

八代名菜子

中津原知恵

川端悠吾

小泉美果

酒井みな実

酒井優月
他の俳優プロフィールは →  こちら

スタッフ

 作=森本薫
 演出=ふじたあさや

 美術=石井みつる
 照明=横田元一郎
 音楽=藤原豊
 衣裳=中矢恵子
 音響効果=菊池弘二
 ことば指導=大原穣子
       小竹伊津子
 舞台監督=荒宏哉
 演出助手=大谷賢治郎
 宣伝美術=Windage.
 製作=福島明夫



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※開場時間は各公演の30分前です。
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一般=5,000円(消費税238円含む)
U30=3,000円(消費税143円含む)
当日=各300円増(消費税14円含む)

◎全席指定
◎団体割引・障害者割引あり
◎車椅子でご来場の方は準備の都合上、必ず劇団までご連絡ください。