明日、咲くサクラ
森脇京子=作 板倉哲=演出



「真紀ちゃんはいつ帰ってくるの?」

「明日なんですよ、約束は…。」


大地がひっくり返った!ガラガラドッカーン!
突然目の前がパーッと開けて
そこに“自由”ってヤツが両手を広げて待ってたんだ。
でもその自由って?
待つこと、それとも…。

生き残ったモノたちの命をどうしたら輝かせることが
出来るのだろうか?

福島原発事故を受け、
「臨界幻想2011」に続いて青年劇場が、
森脇京子さんの書き下ろしに挑む!!



♪〜何をして生きるのか

かなり遅めに子どもを産んだので、私がアンパンマンの主題歌をしばしば耳にしたのは十二、三年前だ。“何のために生まれて、何をして生きるのか、答えられないなんて、そんなのはイヤだ”という歌詞が、子育てに疲れ果てていた心に染みた。

昨年、この歌は、多くの被災者の心を癒してくれたと聞くが、同時に、“答えられない大人”に、真っ直ぐ問い掛けている気がする。
原発を誘致した自治体も、電力の恩恵に預かる首都圏も、隣接する地域の住人も、遠く離れた土地に暮らす人たちも、政治家も、マスコミも、私自身も・・フクシマ以後、日本中の誰も彼もが自問したに違いない。“自分が何者で、何をすべきなのか”を―。

人間がいなくなったチェルノブイリには広大な森が出現し、野生動物が増えているらしい。物言わぬ動植物は、放射能より人間の害が無くなったことで、本来の姿を取り戻したのだろうか。願わくば、私たち人間も自然界の一員であり続けたい。春、福島の避難区域にも咲くサクラを愛でるのは、人間しかいないのだから。


森脇京子(もりわききょうこ)

劇団くるみ座、大阪放送劇団を経て現在に至る。 NHK連続テレビ小説「だんだん」、「はんなり菊太郎」シリーズ、新歌舞伎座公演「出雲の阿国」などテレビ・ラジオドラマ、舞台公演作品多数。 青年劇場上演作品では「17才のオルゴール」、「鮮やかな朝」。



板倉哲(いたくらてつ)

1982年入団。愛知県出身。俳優として数多くの舞台に出演するかたわら、近年は演出部にも籍を置き、「気配―『第三帝国の恐怖と悲惨』より」「キュリー×キュリー」の演出、「修学旅行」「族譜」(再演)「ばんさんかい」「太陽と月」「青ひげ先生の聴診器」などで演出助手を務める。他に付属養成所の上演指導、ワークショップ講師など、幅広く活躍中。

原発事故後の福島県を取材して
――「明日(あす)、咲くサクラ」上演を前に

 2011年12月、私は作家の森脇京子さんとともに福島県入りした。
 「明日、咲くサクラ」の現地取材のためだ。原発事故後置き去りにされた動物たちのことを出発点にして、命を考える劇を創ろうという話がスタートした時から私は思っていた。絶対に現地に行こう。東京で0.08(マイクロシーベルト毎時)だった線量計が、調査を開始した郡山駅付近ではすでに10倍以上の1.0を計測していたのには驚いた。(飯舘村では車内で2.2を計測した)

 酪農家の方を中心にお話を伺った。皆さんは予想以上に辛い体験をされていた。手塩にかけた牛の殺処分。後継者を見つけた矢先の酪農廃業。家族やペットとの生き別れ。避難生活で生きがいを失い酒浸りになる人々の事。気丈にも皆さんは冷静に語ってくださった。
 そんな聞き取りが中断する場面が何度かあった。「あなたのお子様はこの土地で育って欲しいですか?」という質問をした時だ。放射線の健康被害への恐怖は勿論、就職の不安もある。風評被害による結婚差別にまで心配は広がる。「俺たちはもう浴びてっから」と自らの放射線被曝を笑い飛ばす肝っ玉の牧場主から笑顔が消える。苦渋に満ちた表情で懸命に言葉を探す姿。絶望し発狂しないように必死で心のバランスを取っておられるみたいだ。

 心の崩壊を感じさせるエピソードも聞いた。花粉症でマスクをしていた小学生が同級生に「放射能が恐いのか?自分だけ助かりたいのか?」といじめられる。とある市立病院に体内被曝線量計測機が届き、市民から受診希望が殺到。電話で順番待ちを依頼する病院職員に「お前ら公務員だろ!寝ないで働け!」と怒鳴り散らす市民。弱者の苛立ちが弱者に向けられるという構図が悲しい。私達がこの人々と希望を共有する事は可能だろうか?
 帰りの車中で森脇さんと「取材させて頂いた皆さんにお見せできる作品にしたいですね」と決意した。時折激しく雪が降る師走の「うつくしま」は私に色々な事を教えてくれた。




出  演
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青木力弥

吉村直

浦吉ゆか

船津基

清原達之

真喜志康壮

八代名菜子

山田秀人

川端悠吾

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スタッフ

作=森脇京子
演出=板倉哲

美術=上田彩絢
照明=河ア浩
音楽=近藤浩章
音響効果=石井隆
衣裳=上田彩絢
舞台監督=荒宏哉

製作=福島明夫


2012年
7月13日〜22日 青年劇場スタジオ結  → アクセス

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※開場時間は各公演の30分前です。
※上演時間は、休憩なし1時間50分の予定です。


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一般=5,000円(消費税238円含む)
U30=3,000円(消費税143円含む)

◎全席指定
◎団体割引・障害者割引あり
◎劇場は階段を下りた地下にございますので、車椅子でのご入場はできません。ご了承ください。