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青年劇場 第97回公演

藪の中から龍之介

篠原久美子=作 原田一樹=演出 福島明夫=製作


芥川を殺した11人の登場人物!?


恐慌。震災。デモクラシー。自由と抑圧。
「戦後」にして「戦前」
そして「将来に対する漠然とした不安」

今は大正。

芥川龍之介が死んだ日、彼の生み出した登場人物たちが集まった。
――死んでるよな? ――死んでますね。
――死んでねえよな? ――死んでませんね。
藪の中からひょっこり顔を出したのは…?


芥川と聞くとどうしても次の句を思い出す

原田一樹

芥川と聞くと何故かこの句を思い出す。
〜世のなかは 箱に入れたり 傀儡師〜
王朝文学の芥川、切支丹物の芥川、赤い鳥の芥川、文明開花期を舞台として、江戸期を舞台として、中世を舞台として書いた芥川、中国文学の芥川、私小説の芥川……。もちろんこれら多彩なジャンルをジグザグに横断した、それが「世の中を箱に入れた」ことではない。むしろ「箱に入れて」悦に入っている「傀儡師」への渇いた笑いを感じるのだ。自分自身を死人のように見つめる天才の冷たい目。だが言うまでもなく舞台の本質は俳優達がその世界を生きて跳ね回ることである。しかも今回、劇作家篠原久美子は小説の登場人物に実在の親族や近しい者を演じさせると聞いた。傀儡師も驚く離れ業。そして青年劇場である。これはもうきっと箱に収まるはずはない。と言うわけで、演出家の今回の役割は箱をひっくり返すことだと信じている。どんな中身が飛び出すか、それはまだ誰も知らない。


はらだかずき
‘85年劇団キンダースペース創立・主宰。(財)舞台芸術財団演劇人会議評議委員。90〜91年ACC(Asian Cultual Council)の招聘によりニューヨーク演劇留学。スターダス21プロダクション付属養成所講師。劇団の公演の他、年間10〜15本の舞台作品の演出を手がけ、地域での演劇ワークショップ講師や高校演劇コンクールの審査員、市民参加劇団の演出等、幅広く活躍する。
主な作品に「喪服の似合うエレクトラ」「プラトーノフ」「短編演劇アンソロジーシリーズ」「チェーホフ的チェーホフ」他(劇団キンダースペース公演)、「しんしゃく源氏物語」(SPAC)、「九番目のラオ・ジウ」(俳優座)、「天国までの百マイル」(文化座)他多数。


経済的繁栄から不況のどん底へ。盛り上がったデモクラシー運動から抑圧と統制へ。労働問題に大震災、忍び寄る戦争の影…。

今の話じゃありません。大正時代のお話です。「戦後」にして「戦前」だったのが「大正」という時代。

そんな時代を駆け抜けるように生きた文豪・芥川龍之介。芥川といえば、「羅生門」「鼻」「芋粥」「地獄変」など、平安時代を舞台にして、ユーモアやピリッとした皮肉を効かせた、知的な作品が有名です。どちらかと言えば浮世離れした、ちょっとニヒルな作家というイメージ? しかし、今回篠原さんが描くのは、そんな芥川の意外な、そしてかけがえのない別の一面です。

貧しい人々の悲痛な叫びや、せまりくる戦争の気配を、芥川龍之介はどう受け止めていたのか。その思いは作家が残した多くの作品の中に、実はひっそりと息づいています。それらを注意深く拾い集め、まったく新しい芥川龍之介像をつくりあげました。

繊細かつ激しい篠原久美子さんの脚本と、緻密かつ壮大な原田一樹さんの演出。芥川龍之介という「藪の中」から、どんな時代の真実が浮かび上がるのか? 乞うご期待!



出  演
(ポインターを写真に合わせると役名が表示されます)

お釈迦様−伯母・フキ
藤井美恵子
鬼の酋長−刑事(武藤)/章炳麟
葛西和雄
沙金−秀しげ子
菅原修子
猿−久板卯之助
広戸聡
婦人−養母・トモ
千田京子
杜子春の父−芥川道章
吉村直
騎兵−編集部(中田)
大木章
レエン・コオト男−芥川龍之介
北直樹
小女房−森田幸子
伊藤めぐみ
ろおれんぞ−芥川文
大月ひろ美
下人−石田平六
矢野貴大

スタッフ

作=篠原久美子
演出=原田一樹

美術=石原敬
照明=河ア浩
音響効果=菊池弘二
衣裳=宮岡増枝
演出助手=板倉哲
舞台監督=荒宏哉
製作=福島明夫
製作助手=川田結子
公演関連
イベントの
お知らせ

2008年
9月12日〜21日 紀伊國屋サザンシアター

22日 府中の森芸術劇場ふるさとホール
[後援:(財)府中文化振興財団]

25日 かめありリリオホール
[共催:葛飾区文化施設指定管理者かめありリリオホ−ル]
[後援:葛飾区 葛飾区教育委員会]

2008年
9月
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会場 紀伊國屋サザンシアター 府中 かめあり

※開場時間は各公演の30分前です。
※開演時間は2時間55分(休憩15分含む)の予定です。


一般=4,935円(4,700円+消費税235円)
ユース=2,625円(2,500円+消費税125円)
(学生及び20才以下)
当日=各315円増(300円+消費税15円)

◎全席指定
◎団体割引・障害者割引あり
◎車椅子でご来場の方は準備の都合上、必ず劇団にお問合せください。
◎府中会場のみ託児あり(要予約)

お知らせ

オペラシアターこんにゃく座でも同時期に、芥川龍之介「藪の中」を題材にした‘オペラ’を上演!
「藪の中から龍之介」のチケット(半券可)をお持ちいただくと、当日券でも前売り料金でご覧いただけます!
この秋、二つの芥川作品をぜひ!