「戦後」にして「戦前」
そして「将来に対する漠然とした不安」
今は大正。
芥川龍之介が死んだ日、彼の生み出した登場人物たちが集まった。――死んでるよな? ――死んでますね。
――死んでねえよな? ――死んでませんね。
藪の中からひょっこり顔を出したのは…?
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今は大正。
芥川龍之介が死んだ日、彼の生み出した登場人物たちが集まった。芥川と聞くとどうしても次の句を思い出す
原田一樹
芥川と聞くと何故かこの句を思い出す。
〜世のなかは 箱に入れたり 傀儡師〜
王朝文学の芥川、切支丹物の芥川、赤い鳥の芥川、文明開花期を舞台として、江戸期を舞台として、中世を舞台として書いた芥川、中国文学の芥川、私小説の芥川……。もちろんこれら多彩なジャンルをジグザグに横断した、それが「世の中を箱に入れた」ことではない。むしろ「箱に入れて」悦に入っている「傀儡師」への渇いた笑いを感じるのだ。自分自身を死人のように見つめる天才の冷たい目。だが言うまでもなく舞台の本質は俳優達がその世界を生きて跳ね回ることである。しかも今回、劇作家篠原久美子は小説の登場人物に実在の親族や近しい者を演じさせると聞いた。傀儡師も驚く離れ業。そして青年劇場である。これはもうきっと箱に収まるはずはない。と言うわけで、演出家の今回の役割は箱をひっくり返すことだと信じている。どんな中身が飛び出すか、それはまだ誰も知らない。
経済的繁栄から不況のどん底へ。盛り上がったデモクラシー運動から抑圧と統制へ。労働問題に大震災、忍び寄る戦争の影…。
今の話じゃありません。大正時代のお話です。「戦後」にして「戦前」だったのが「大正」という時代。
そんな時代を駆け抜けるように生きた文豪・芥川龍之介。芥川といえば、「羅生門」「鼻」「芋粥」「地獄変」など、平安時代を舞台にして、ユーモアやピリッとした皮肉を効かせた、知的な作品が有名です。どちらかと言えば浮世離れした、ちょっとニヒルな作家というイメージ? しかし、今回篠原さんが描くのは、そんな芥川の意外な、そしてかけがえのない別の一面です。
貧しい人々の悲痛な叫びや、せまりくる戦争の気配を、芥川龍之介はどう受け止めていたのか。その思いは作家が残した多くの作品の中に、実はひっそりと息づいています。それらを注意深く拾い集め、まったく新しい芥川龍之介像をつくりあげました。
繊細かつ激しい篠原久美子さんの脚本と、緻密かつ壮大な原田一樹さんの演出。芥川龍之介という「藪の中」から、どんな時代の真実が浮かび上がるのか? 乞うご期待!
青年劇場 製作部
出 演
(ポインターを写真に合わせると役名が表示されます)
藤井美恵子 |
葛西和雄 |
菅原修子 |
広戸聡 |
千田京子 |
吉村直 |
大木章 |
北直樹 |
伊藤めぐみ |
大月ひろ美 |
矢野貴大 |
スタッフ
2008年
9月12日〜21日 紀伊國屋サザンシアター
22日 府中の森芸術劇場ふるさとホール
[後援:(財)府中文化振興財団]
25日 かめありリリオホール
[共催:葛飾区文化施設指定管理者かめありリリオホ−ル]
[後援:葛飾区 葛飾区教育委員会]
2008年 9月 |
12 金 |
13 土 |
14 日 |
15 月 |
16 火 |
17 水 |
18 木 |
19 金 |
20 土 |
21 日 |
22 月 |
25 木 |
14:00 | - | ● | ● | ● | 休 演 |
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18:30 | - | - | - | - | ● | - | - | ● | - | ● | - | |
19:00 | ● | - | - | - | - | ● | ● | - | - | - | ● | |
会場 | 紀伊國屋サザンシアター | 府中 | かめあり |
お知らせ
オペラシアターこんにゃく座でも同時期に、芥川龍之介「藪の中」を題材にした‘オペラ’を上演!