2010年秋の青年劇場

 青年劇場はこの秋、4つの作品で全国を駆け巡ります。また東京では、11月に国際交流事業の一環として、ロシアの劇団の招聘公演を行います。
 時代に切り込む創作劇の全国公演、豊かな感性をより刺激する青少年劇場公演、そして劇団の拠点であるスタジオ結からは海外の優れた作品を発信。2011年の活動につながる劇団の動きをご紹介します。

鑑賞運動とともに 演劇鑑賞会・子ども劇場公演

「族譜」―中部・北陸から九州へ


「族譜」               ★

10/4 尾北演劇鑑賞会 対面式

 台本改訂と共に、谷六郎=吉村直、平田課長=船津基という新たな配役で臨んだ「族譜」は、9月21日〜10月22日、全国演鑑連中部・北陸ブロック協議会、奈良演劇鑑賞会例会として27ステージを巡演してきました。「族譜」にとっては初めての演劇鑑賞会公演ですが、韓国併合100年の今年に上演出来たことに、劇団として意味深さを感じています。

 「子どもの頃、同じクラスにいたあの子を思い出した。今どうしているか……」「鮮やかな色の衣裳や、朝鮮の伝統的な歌や踊り、子どもの遊びを間近に見て楽しかった」「演劇の使命は、日本が二度と大きな惨禍を引き起こさないために、過去の歴史の事実を知らせる存在であって欲しいと思った」など、各地で会員の皆さまからの温かい拍手と、数多くの感想を頂きながら、続く11月9日〜12月26日は九州演劇鑑賞団体連絡会議45ステージの旅に出発いたします。

 来年2011年には、四国市民劇場連絡会議例会12ステージが決定しています。初演から120ステージ近くを数え、より厚みと深みを増した「族譜」どうぞご期待ください!


「博士の愛した数式」―各地で温かな出逢いを


「博士の愛した数式」          ☆

川崎市民劇場にて運営サークル会議の様子

 「博士の愛した数式」は、2006年青年劇場スタジオ結にて初演以来、様々な形で全国公演をしてきましたが、今秋は11/11〜12/25、神奈川県演劇鑑賞団体連絡会例会21ステージ(昨年の北海道ブロックに続いての演劇鑑賞会の例会となります)、各地子ども・おやこ劇場例会4ステージの巡演をいたします。

 「どんな出会いの中にも、奇跡の種が眠っている」という脚本・演出の福山啓子の言葉通り、数学という学問の美しさ・面白さを通して、一見風変わりな博士、ルート少年と母をはじめとする「人と人の出会い、つながり」の素晴らしさ、あたたかさが何倍にも拡がる舞台、客席の皆さまとも、素晴らしい出会いがたくさん生まれることを、楽しみにしています。


生の舞台ならではの魅力満載! 青少年劇場公演

「修学旅行」             ★

10/7 バックステージツアーの様子
(浜松市教育文化会館)

 「修学旅行」は9月22日から11月4日まで巡演。今回は劇団にとって3年ぶりの浜松高等学校演劇教室での公演がありました。この合同鑑賞会は浜松市内の高等学校14校が合同で一つの作品を鑑賞する、全国でも歴史の古い合同鑑賞会です。会場は笑いに包まれながらも「今もまだ戦争が続いているのだと改めて気づかれされた」「考えさせる所はしっかりと考えさせて、笑う所は思いっきり笑えた」と作品への感想も届けられました。あわせて生徒座談会やバックステージツアーなども行い、より深く作品に触れていただくことができました。


「キュリー×キュリー」        ☆

延岡市立黒岩小学校体育館の仕込み

 「キュリー×キュリー」は関東・東海地域の学校・子ども劇場を中心に9月28日から12月23日まで巡演します。10月には初めて文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」で沖永良部や宮古島など九州地方の小規模校を中心に巡演しました。ほとんどが学校の体育館での上演で、普段見慣れた体育館が劇場に変身する様に、参加した生徒さんたちは一様に驚きの表情です。

 両作品とも生の舞台ならではの魅力を存分に振りまいて、生徒さんの笑い声に元気をもらいながら巡演を続けています。


笑うチェーホフ! オムスク第5劇場来日迫る

「33回の失神」

 西シベリアの中心地、ロシアきっての演劇都市として知られるオムスク市から、オムスク国立ドラマ劇場“第5劇場”がやってきます。

 2007年には同劇場で青年劇場の演出家、堀口始が『楽屋』(清水邦夫=作)を演出し、話題を呼びました。

 今回の日本公演は、ロシア連邦政府の助成を受け実現。青年劇場と(社)日露演劇会議が主催し、青年劇場スタジオ結で上演します。

 演目は本邦初演となる「33回の失神」。チェーホフの傑作喜劇「熊」「結婚申し込み」「記念日」を「タバコの害について」でつないだもの。チェーホフを愛した演出家メイエルホリドが構成した作品を、新進気鋭の演出家ユモフ・オレグが演出します。

 チェーホフ生誕150年の掉尾を飾るにふさわしい舞台になること間違いなし。
 皆様のご来場をお待ちしています。

公演について詳しくは →こちら

舞台写真:☆蔵原輝人 ★宮内勝


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