2018年
新春のお慶びを申し上げます

劇団代表 福島明夫

 昨年の青年劇場は、「梅子とよっちゃん」「アトリエ」「原理日本」「『事件』という名の事件」と四本の新作を上演しつつ、「島」「みすてられた島」「オールライト」「博士の愛した数式」「あの夏の絵」と五つの作品が全国を駆け巡り、各地で素敵な出会いが生まれました。東京では戦争の記憶とその継承をテーマにした作品群を連続して上演した年にもなり、そのことで研究者や異ジャンルの方々との新たな出会いも生まれました。国際的な緊張関係の高まりは予断を許さないところがあり、戦争という狂気がどのように生まれ、災禍をもたらすのか、演劇で何が伝えられるのかという挑戦でもあったのですが、俳優の肉体を通して伝わってくる真実に対しての激励を多くいただくことが出来ました。
 今年の幕開けは、三月の「きみはいくさに征ったけれど」となりますが、この作品も若くして戦場に散った詩人・竹内浩三の生きざまに触れた現代の若者を芯に据えたものです。今年は、この戦争の記憶を胸に刻み付けながらも、五月、七月、九月とこれからの生き方、社会のありように目を向けた新作を上演していきます。
 時代は様々な意味で激動と変革の時期を迎えているように見えます。だからこそ時代と人間の真実、未来に向きあう演劇との出会いの場を全国至る所で作っていきたいと思うのです。ぜひ劇場に足をお運びいただくよう、また一人でも多くの方が演劇と出会えるようお力添えを賜れば幸いです。
 本年もなにとぞよろしくお願いいたします。