ひろば

 2016年5月27日、米国の現職大統領として初めてオバマ大統領が広島を訪れました。平和公園で行われた式典では二人の被爆者が大統領と面会。そのお一人が、日本被団協の代表委員・坪井直さん(91才)です。20歳の時に広島で被爆、その後中学教師として自らを「ピカドン先生」と名乗りながら、被爆体験を語り続けました。

 青年劇場では坪井さんをモデルに描いた舞台「島」(堀田清美=作/藤井ごう=演出)を2010年に上演、大きな反響を呼び、その後全国巡演を続けています。被爆者として抗しがたい運命を背負いながらも、人間の理性と生命力が必ず原爆に打ち勝つと語る主人公の学(まなぶ)の姿と、大統領と固く握手をする坪井さんの姿とが重なり合い、胸を強く打つものがありました。坪井さんは大統領に「原爆のことを見たり聞いたりして、核兵器の全体像が分かられたのだから、これから何度でも広島に来てください。7年前の(プラハ)演説に感動しました。ともにがんばっていきましょう」とお話しされたそうです。

 核なき世界への想いを乗せて「島」は今秋、広島を含む中国地方で、来春は九州地方の演劇鑑賞会にて上演致します。なお東京では、今年12月に再演致しますのでこの機会にぜひご来場ください。



 ●坪井直さんよりメッセージを寄せていただきました。ご紹介いたします。
 坪井についていろいろ紹介されていますので、これからは後期高齢者(75才・2000年)の前後について記します。

 日本被団協(全国の北海道から沖縄の一県一団体の組織)と広島県被団協のトップとなり、被爆者問題に取り組みました。三たび核兵器を使用してはならず、核兵器の廃絶運動に努力してきた。海外での活動も21回に及んでいる(※)。人の世に悪いことも多く、悪から解放されるよう私なりに頑張っている積りです。この5月、アメリカ大統領のオバマさんにお会いして話もできました。

 世の中の天災、人災に右往左往するのではなく心ある人が一堂に集まり、団結することが第一です。いついかなることがあっても諦めてはなりません。ネバーギブアップ!  人の世に栄えあれ、人の世にもっともっと光を!
坪井直

※中国、米国、フランス、朝鮮、インド、パキスタン、オランダ、イギリス、ベトナム、ドイツ、アルジェリア、韓国の各国を24年間に亘って訪問、証言活動等を行ってきた。

「島」初演時の舞台より