3150万秒と、少し

〜今までになく懸命に生きた一年〜






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藤井清美
(ふじいきよみ)

劇作家・演出家。1993年に劇団青年座文芸部に入団。劇団内外を問わず、日本を代表する演出家のもとで演出助手として多くの作品に参加。96年「琥珀のなかで眠るもの」で初の作・演出。以後、さまざまな舞台で演出、脚本などで活躍し、舞台以外にもテレビ・映画のシナリオなども手がけている。また高校の演劇講師や地域の演劇ワークショップの講師も勤め、活動の幅を広げている。

生きているという実感

 この舞台を作りたいと思ったのは、原作になった映画を初めてビデオで観ている最中だった。「ストーリーを追いながら、同時に舞台化を考える」という珍しいことが起こったのは、この作品にまさにそれだけの魅力があったからだった。

 「生きていることの意味を問う」

 この、シンプルだが力強いテーマに強く引きつけられたのだ。

 実際の舞台化に当たり、全国の高校生達に「やりたいこと」についてのアンケートを行った。その回答がそのままこの作品に反映されている。「派手な格好をして思いっきり歌いたい」という罪のないものから、「学校の窓ガラスを割る」というかげきなものまで。そのどれも、ふつうの高校生の奥底に眠る本音だった。

 舞台では、そんな高校生たちの「やりたいこと」が一つ一つ実現されて行く。爽快でもあり、虚しくもあるその一つ一つの行為を通して、「生きていることの意味」と「生きていることの実感」が描かれて行くのである。

 高校生たちへのアンケートから生まれたこの舞台が、どのように、多くの学生の胸に還って行くのか。その日を思いながら、わたしたちは舞台を作っている。

 この舞台が多くの若い人たちと出会えることを願ってやみません。