生きているという実感
この舞台を作りたいと思ったのは、原作になった映画を初めてビデオで観ている最中だった。「ストーリーを追いながら、同時に舞台化を考える」という珍しいことが起こったのは、この作品にまさにそれだけの魅力があったからだった。
「生きていることの意味を問う」
この、シンプルだが力強いテーマに強く引きつけられたのだ。
実際の舞台化に当たり、全国の高校生達に「やりたいこと」についてのアンケートを行った。その回答がそのままこの作品に反映されている。「派手な格好をして思いっきり歌いたい」という罪のないものから、「学校の窓ガラスを割る」というかげきなものまで。そのどれも、ふつうの高校生の奥底に眠る本音だった。
舞台では、そんな高校生たちの「やりたいこと」が一つ一つ実現されて行く。爽快でもあり、虚しくもあるその一つ一つの行為を通して、「生きていることの意味」と「生きていることの実感」が描かれて行くのである。
高校生たちへのアンケートから生まれたこの舞台が、どのように、多くの学生の胸に還って行くのか。その日を思いながら、わたしたちは舞台を作っている。
この舞台が多くの若い人たちと出会えることを願ってやみません。