稽古場レポートC
「呉将軍とおっ母と牛のモクセ」
2008.3.31
今回お伝えしたいのは、呉将軍の飼っている畑牛にして親友の「モクセ」(島野仲代)について。
物語中盤、呉将軍が兵隊にとられ、ひとりになったおっ母(井上昭子)がモクセとともに寂しく畑を耕す場面があります。
そこに恋人のコップン(浦吉ゆか)がやってきて呉将軍の安否と戦争の行く末を語るのですが、そのときのモクセの表情と姿勢が実にせつないのです。
昔は、人間たちは皆、自然の中に生き、草や木や動物たちと共生していました。
この物語でも、モクセは基本的に鳴き声以外のセリフはありませんが、呉将軍と対話をし、感情をゆたかに表現させるのです。
木々や花たちもそう。
呉将軍に小便をひっかけられた時の反応も様々なんです。
観客は、舞台上のどこに、誰に焦点を当てても何かを感じられるようになっています。
レポート1でも書きましたが、こういうところが「豊かな芝居だなあ」と思うのです。
みなさんも劇場にお越しになって、ご自分なりの「呉将軍の世界」をぜひ発見してください!
(製作部)